登場人物
新規
ミーシア
日本人とアメリカ人のハーフ。十歳。幼い頃に両親に売られて先進技術の被検体となっていたところを、ミスト分体に見出されて保護される。
ミストの『人の願いを叶える』という機能によって、重病であるミーシナと一体化することを夢見る。
ミーシナ
ミーシアとは双子。先進技術の被検体となったときの副作用で首から下が全く動かなくなっている。
ミーシアとは一心同体で、違う人間の気がしないレベル。ミーシアと一体化して生きることを夢見ている。
白湖
しらうみ。白湖博士。研究所の主任研究員を名乗っている。
実態はミストが登悟の視覚野に見せている幻。
クライツ博士
義体デザイナー、義体技術者。
金髪の優男で美男子。クライツ・ハイン義体研究所の所長を務める。
詠子の数少ない友人。詠子の過去を知り、また彼女のことをからかったりできる数少ない人間。
九條万士
くじょうあらひと。高名な義体技師。身体障害者向けの代替身体を作成する。
現在は海外に住んでいて、登悟との接点はほとんどない。
義体と関わりすぎたせいで、生身の人間も物体としか認識できない性癖を持つ。そのせいで登悟に対しても肉親の情というものは薄く、万士の知る限り最善の選択であるパシフィス工業大学受験までを手伝い、それ以降はほとんど絶縁状態にある。
主要
九條登悟
ヤンキー風の大学生(二十二世紀)。21歳。
右腕、右目が義体である。過去の事故で半身不随となり、人類未到産物『Face Loader』と連動した義体で置換している。
父親が高名な義体技師(九條万士)。半ば強制的にパシフィス工業大学を受験させられたことに反抗し、ヤンキー風の外見になった。
父親とのいざこざのせいで、無意識的に人間不信である。他人を信用することができず、一定の距離を置こうとするため、仲の良い友人がアキラしかいない(ホロコスで正体を隠している、というところに安心感を覚えている)。
灼(人格クラウドを利用しているhIEという存在)をどう捉えればいいのか迷っている。hIEは道具だということは一般常識として理解しているが、超高度AIによって作成された人格クラウドは精密すぎた。
パシフィス工業大学工学部二年生。半身不随→リハビリを経る間に一年が経過したため、一年ダブっている。
成績は中の上。頭は悪くない。
詠子の根回しで、いくつかの授業の出席を免除されている。詠子はパシフィス工業大学の教授陣とも関係があり、大小の弱みを握っている。
『Face Loader』経由で、本来はhIEが使用する身体制御のカスタムクラウドを使用することができる。そのお陰で、右半身を主とする行動、特に銃撃に関しては達人級の腕前を誇る。
奨学金とバイトで学費と家賃を払っていることに加えて、事故後では詠子に義体換装の費用として法外な金額を請求されており、常に金欠。
借金返済のためという名目で、詠子が経営する威力探偵のエージェントとして働くことを強いられている。
灼
和装美少女hIE。
人格としてエミュレーションしているのは、超高度AI『仮面』が作り出した人工人格クラウド。
実際の人間の人格を大量にサンプリングして作り上げられた、限りなく本物に近い人工人格。普通にコミュニケーションしている限りでは、普通の人間と見分けることは不可能。
灼自身は感情があるが、それはクラウド上でエミュレーションされている電気信号でしかないということを理解しているため、いつも達観した態度をとる。
人工人格を作成する過程で、中国の研究所の研究員と交流しており、記憶も残されているが、機密に関わる部分は消去されている。
鷺森詠子
外見年齢二十代の老婆。実年齢は88歳。
アンニュイな雰囲気、時代錯誤も甚だしいゴシックドレスを身に着け、首に藍色のペンダント型高度デバイスをかけている。
元は世界的な義体デザイナーで、オーバーマン主義が隆盛していた頃に中国の権力者の義体を大量に作った。その過程で権力者たちの弱みを握り、中国の権力者たちにかなりの影響力を持つ。
詠子は口止め料として、超高度AI『仮面』の演算領域の3%を自由に使うことを条件に隠遁した。
現在はパシフィスにて威力探偵業を営んでいる。
オーバーマン主義が隆盛していた時代に、富裕層の義体をデザインしていたことで、人格複製技術の負の側面を強く知っている。複製人格が悪用されている事件に対しては強く反応する。
威力探偵業を営んでいる理由は、過去に――
舞台・用語
新規
クライツ・ハイン義体研究所
パシフィス内でも有数の義体研究所。主に富裕層向けの身体拡張や、難病の患者に向けた代替身体の提供を行う。
その性質上、難病の患者が短期的に入院していることがあり、病棟フロアが存在している。
主要
Face Loader
人類未到産物。超高度AI『仮面』と独自回線で接続されており、対象の仮想人格を構築して高精度の行動予測を行う。
先鋭技術特区パシフィス
高度技術の開発・実験都市として、関東地方に2080年に設立された埋め立て区画。
設立初期の整備の穴を高度AI群に突かれ、2110年現在では多数の高度AI群の干渉を受ける特殊地域となっている。
新市街と旧市街に別れており、特に高度AI郡の影響を強く受けているのが新市街である。設計からその統治方法に至るまで高度AIの干渉を受けている。
新市街の南側は技術特区。二十二世紀現在の技術に関わる企業が密集している。hIEの高級機を専門に扱う大手企業などがひしめき合っている。
多数の高度AI群の端末が潜り込んでいる。
最初は東京一区程度の面積しかなかったが、高度AIの干渉を受ける形で爆発的に面積が増大し、現在では東京23区に匹敵する面積となっている。
地盤となっているのは超高度AIが開発した素材。スポンジ構造で海水中の有機物を取得し代謝する。
鷺森威力探偵事務所
パシフィスの新市街と旧市街のちょうど境目になる位置に建っている雑居ビルにある。廃材置き場と見紛うばかりの殺風景な外観。
インフラの更新に際してコストと見合わないことから後回しにされた区画である。